鉤流家の子育て ソラマドに住む子供達

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基本情報 鉤流邸ってどんな家?

瀬戸内市の田園風景の中に2002年、建築家・井内清志の設計によって建てられた平屋建ての住まい。

中庭を居住スペースがぐるりと取り囲み、その中庭は、室内と同じ高さで杉の床板が張られています。テント式の屋根で覆うと、中庭も室内のように使うことができます。

また、居住スペースはトイレと浴室を除いて仕切り壁がなく、ワンルームを可動式の収納ボックスで仕切って使います。

  • お家をのぞいてみよう
  • 星空を眺めながらのバスタイムは鉤流家名物
  • 佳典さんお手製の「月見台」に、全員集合!
  • 部屋と同じ高さの中庭(そらまど)を、テント状の屋根が覆う。開閉はあえて手動で
  • 鉤流邸 1階 103.51㎡(31.31坪)
  • 屋根を閉めると部屋のようになる中庭(そらまど)。子供は100%走り回り、大人はつい腰を落ち着ける
  • 可動式の収納ボックスで仕切られた早彩さん・貫人さん姉弟の部屋
  • 佳典さん、幸美さんが「趣味のことをする」スペース

鉤流家で育った姉弟に聞きました 鉤流貫人さん

家ができた時の感想 僕も友達もびっくり。「これって家なん?」

「何?この家」「これって家なん?」 それが引っ越してすぐの僕の感想でした。友達もみんなびっくり。あの頃は入れ替わり立ち代わり、誰かが家を見に来ていました。驚きはしましたが、家がイヤだと思ったことは一度もありません。どちらかと言うと、誰の家にも似ていない自分の家が、ちょっぴり自慢だったかな。うん、そう。誇らしい気持ちの方が強かったんです。

特に気に入っていたのはお風呂。手足を伸ばしてのんびり入れるから。いまも僕の風呂タイムは長いです(笑)。 部屋が丸見えなのも、最初はいやだったけど、すぐに慣れました。プライバシーがないとかは思いませんね。うちではめいめいが好きな場所で好きなことをしていて、お互いに干渉しません。居心地がいいので、家にいるのは大好きです。

両親について思うこと 理想の父親像に近い…かも

この不思議な家の、そもそもの発案者である父は、いろんなことに熱中していつも頑張っている人。僕の描いている理想の父親像に近い感じです。自分の楽しいことばかりして、「子供達のために何か」ってならないところが好き。だから僕も自分が好きだと思ったことは、一生懸命やろうと思い、小学2年から始めたバスケットボールをずっと続けています。 母はやさしくて料理が上手で、ユーモアのある人。かなり天然が入っています(笑)。
ふつうなら、父に「こんな丸見えの家はいやだ」とか文句を言いそうだけど、母は何でも受け止めて、気にしないというか、面白がってしまうようなところがあるので、家の中が平和なんだろうな。家の壁を塗る時も、屋根の開閉も、小さい頃から僕達にさせてくれたので、そんな中からも家への愛着が湧いてきたんじゃないかと思います。

家から影響を受けたこと 人と違っていることが気にならない

この家に住んでいるからかどうかはわからないけれども、人と同じようにしなくちゃという気持ちはまるでないです。映画でも音楽でも服装でも、自分が気に入っていれば、他人からどう思われようと平気。お笑い番組を見ている時に、笑いのポイントが友達とずれていて、一人で笑っていることもたまにあります(笑)。
自分がそうだから、友達が違う意見を持っていても、それは当然のこととして受け止めます。もともと感覚って、みんな違うものなんじゃないですか? 一つだけ、結婚して子供が出来たら作ってあげようと思っているものがあります。それはドア。やっぱりドアを知らないのはまずいと思うので。それ以外はこの家と同じでもいいかな、と思います。

親友の増原駿さんと。「性格はお互いに違うけど、
妙にウマが合って、どこに行くのも一緒です」

鉤流家で育った姉弟に聞きました 鉤流 早彩さん

家ができた時の感想 「嬉しい」「困った」が交互に。刺激的な家

私の場合は「うれしい」という気持ちと「困った」という気持ちが、替わりばんこに顔を出していたというのが本当のところです。

物音がして勉強に集中できないと「ドアがほしい」と思うし、夏、中庭を全開にして真ん中でアイスを食べている時はものすごい開放感を感じる。

全部丸見えなので、常に片付けておかなくちゃならないのがしんどいなと思う時もあれば、友達に「おしゃれな家だね」と言われて「えへへ」と思うこともある。お風呂は気持ちいいけど開放的すぎるし、とにかく刺激がいっぱいある家。よそのお家と違っているのは、そういう刺激の多さかもしれません。

両親について思うこと 住まい方への興味を育ててくれた両親

この家に引っ越した時、両親から物を極力買わないようにと言われました。「どうして?」と聞くと「置くところがないから」。わかりやすいでしょ?(笑)

しかも私の父はすごくよく片づけをする人で、棚なんかでもきちっと片付いているのが普通の状態。だから私も片付いていないと気が済まない性格になってしまいました。

大学生になって、気がつくといつも住まいのことを考えている自分がいます。たとえば私は今寮生活をしており、はじめての個室を経験しています。落ち着くし、すごく嬉しいのですが、なぜ落ち着くんだろう、空間って何なんだろういうようなことを、ついつい考えてしまいます。

きっと井内先生の貴重なお話を聞いたり、アトリエSORAの人達とふれあったりする機会が、小さい頃からたくさんあったからなんでしょうね。そしてそういう環境をプレゼントしてくれた両親に、私はとても感謝しています。

家から影響を受けたこと 空間と人とのかかわりに関心があります

私の専攻は国際学で、多文化共生論を学んでいます。外国に興味を持ったのも家のおかげかもしれません。変わった構造をしているので、似たようなものが外国にはあるのでは、と思ったことから、海外への興味が育っていったのです。

自由研究のテーマも「現代のいい家づくり」にしました。いまの日本の家づくりって、私達のように"建築家と話をしてつくる家"と"住宅カタログから選ぶ家"の両方あるような気がします。住みやすさという点で考えるとどちらがよいのかは、私にはまだよくわかりません。難しいテーマですが、私には実際に住んできた経験があるので、そこからいろんなことを考えていけたらと思っています。

住んでいる空間によって、いろんなことを感じたり、何を大切に暮らすかという考え方が変わっていったりするのって面白い。いろんな国のいろんな住まいを見て、そこに住む人の話を聞けると楽しいでしょうね。建築に関わることを職業にするかどうかはわかりませんが、これからもずっと私は、住まいについて考えていくんだろうなと思います。

小学生の頃から一緒に遊んでいる藤井温子さんと。「早彩が道のないところを自転車で走ってきて、びっくりしたのが第一印象」だとか